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​恐怖症とは

恐怖症に関するカウンセリングのご案内

日常生活の中で特定の状況や対象に強い恐怖を感じることは、多くの人にとって珍しいことではありません。しかし、その恐怖が強すぎて生活に支障をきたしてしまう場合、それは「恐怖症」と呼ばれる状態かもしれません。

当センターでは、電話恐怖、プレゼン恐怖、歯科治療恐怖、高所恐怖、運転恐怖など、さまざまな恐怖症に対する専門的なカウンセリングを提供しています。恐怖症は一般的にトラウマ的な経験が影響していることが多いため、当院ではトラウマに特化した心理療法を用いて治療を行います。​

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​セラピーの対象となる恐怖症

歯科治療恐怖(デンタルフォビア:dental phobia)
歯科治療恐怖は、歯医者に行くことや治療を受けることに対して強い不安や恐怖を感じる状態です。過去の痛みを伴う治療経験や、治療中にコントロールできない状況に置かれることへの不安が原因となることが多いです。症状としては、歯科医院の音や匂いを感じるだけで動悸やめまいがする、予約を取ること自体が困難になる、治療中にパニック発作を起こすなどがあります。結果として、必要な歯科治療を避けてしまい、口腔健康に悪影響を及ぼすこともあります。


高所恐怖症(アクロフォビア / Acrophobia)
高所恐怖症は、高い場所にいると強い不安やパニックを感じる状態です。階段やエスカレーター、ビルの上階、橋の上など、落下の危険があると認識する場面で症状が現れやすく、心拍数の上昇、めまい、動悸、体の硬直などの反応が出ることがあります。多くの場合、幼少期の高所での恐怖体験や転落経験が原因となることが多く、高所を避けることで生活の幅が狭まることもあります。治療には、段階的な曝露療法や認知行動療法が有効です。

運転恐怖(ドライビングフォビア/driving phobia)
運転恐怖は、車の運転に対して強い不安や恐怖を感じる状態です。事故を目撃・経験したことがきっかけとなることが多く、運転中に心拍が上がる、手が震える、体がこわばるなどの症状が見られます。特に高速道路や狭い道、大きな交差点、トンネルなど特定のシチュエーションで強い恐怖を感じることがあります。また、「自分が運転を誤って事故を起こすのではないか」という不安が膨らみ、運転そのものを避けてしまうケースもあります。


雷恐怖(アストラフォビア/astraphobia)
雷恐怖は、雷の音や稲光に対して強い恐怖を感じる状態です。幼少期の雷に関する強い恐怖体験が影響していることが多く、天気予報で雷の予報を聞いただけで不安になったり、雷の音を聞くとパニックになったりすることがあります。典型的な症状として、心拍数の増加、発汗、震え、泣き出してしまう、屋内にいてもカーテンを閉めて雷を見えなくするなどの回避行動が見られます。日常生活への影響が大きくなると、天気が悪い日には外出を控えるなど、生活範囲が制限されることもあります。

電話恐怖(テレフォビア/telephobia)
電話恐怖は、電話をかける・受けることに強い不安や恐怖を感じる状態です。「話す内容を考えすぎてしまう」「相手の反応が怖い」「沈黙が続くのが苦手」などの理由で、電話を避ける傾向があります。症状として、着信音を聞くだけで心拍が速くなる、発汗や震えが生じる、電話をかける直前に過度の緊張を感じるなどが挙げられます。仕事や日常生活に支障をきたすこともあり、対処しないまま放置すると社会的な孤立につながることもあります。

 

発表恐怖/プレゼンテーション恐怖(グロッソフォビア/Glossophobia)
発表恐怖とは、人前で話すことに対して強い不安を感じる状態です。学校や職場でのプレゼンテーション、会議での発言などが大きなストレスとなり、事前に強い緊張や不安を感じたり、当日に体調を崩したりすることもあります。典型的な症状として、心拍の増加、手足の震え、口の渇き、頭が真っ白になる、逃げ出したくなるといった反応が見られます。この恐怖の背景には、過去の失敗経験や、人前で評価されることへの過度な意識が関係していることが多いです。

閉所恐怖症(クラウストロフォビア / Claustrophobia)
閉所恐怖症は、狭い空間や密閉された場所に入ることに強い不安を感じる状態です。エレベーター、満員電車、MRI検査、飛行機の機内などで発症しやすく、「閉じ込められるのでは」「息ができなくなるのでは」といった強い恐怖を伴います。症状として、発汗、呼吸困難感、動悸、強い逃避衝動などが現れ、回避行動につながることが多いです。過去に狭い場所に閉じ込められた経験や、息苦しさを伴うトラウマ的出来事が原因となることが多いです。

視線恐怖症(スコポフォビア / Scopophobia)
視線恐怖症は、他者から見られることに対して過剰な不安や恐怖を感じる状態です。特に公共の場や人混み、教室や職場で人の目が気になり、「自分が変に思われているのでは」「見られているだけで緊張してしまう」といった考えが浮かび、心拍数の上昇、顔の赤面、体の震えなどの症状が出ることがあります。過去に人前で恥ずかしい経験をしたことがきっかけとなることが多く、社交不安障害(SAD)の一種と考えられています。

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恐怖症は少ない回数の治療で克服できます

恐怖症は、過去の特定の出来事が引き金となり、その後、同じ状況に対して過剰な恐怖を感じるようになることが多いです。しかし、生育環境などの複雑な背景のない方の場合で、かつ、その出来事が単回性のものであれば、多くの場合、適切な治療によって6回のセッションで完全に治すことが可能です。
例えば、「以前のプレゼンで失敗してしまい、それ以来人前で話すのが怖くなった」といったケースでは、比較的短期間での回復が期待できます。

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安全な治療方法で恐怖を克服

恐怖症の治療では、無理に恐怖に直面させるような方法は取りません。曝露療法と身体志向の心理療法を組み合わせることで、安全かつ効果的に恐怖症を克服することができます。


* 曝露療法:恐怖の対象を段階的に体験しながら、恐怖反応を減らしていく方法です。例えば、運転恐怖の方であれば、まずは車に座ることから始め、徐々にエンジンをかける、短い距離を運転するといったステップを踏みながら克服していきます。


* 身体志向の心理療法:恐怖を感じるとき、体が緊張したり、呼吸が浅くなったりします。この治療では、呼吸法やリラックス法を取り入れ、恐怖を感じても落ち着いた状態を保てるようにすることを目指します。
特に、トラウマに特化した心理療法を取り入れることで、恐怖の根本的な原因にアプローチし、より持続的な改善が期待できます。

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料金について

当クリニックの恐怖症に関するカウンセリングは、以下の料金体系で提供しております。
* 初回セッション(90分):20,000円
* 2回目以降(60分):15,000円


初回はじっくりとお話を伺い、恐怖症の成り立ちや治療の方向性を決定します。必要に応じて心理療法を開始し、2回目以降のセッションで具体的な治療を進めていきます。

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「恐怖は克服できるのか?」と悩んでいる方へ

「この恐怖がなくなったら楽なのに」「でも、自分ではどうにもならない」そう感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。恐怖症は適切な治療を受けることで驚くほど短期間で改善することが可能です。
私たちは、無理なく、そして安全に、皆さまが恐怖から解放されるお手伝いをいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。


1)Doering S, Ohlmeier MC, de Jongh A, Hofmann A, Bisping V. Efficacy of a trauma-focused treatment approach for dental phobia: a randomized clinical trial. Eur J Oral Sci. 2013 Dec;121(6):584-93. doi: 10.1111/eos.12090. Epub 2013 Sep 23. PMID: 24206075.

2)
de Jongh A, Holmshaw M, Carswell W, van Wijk A. Usefulness of a trauma-focused treatment approach for travel phobia. Clin Psychol Psychother. 2011 Mar-Apr;18(2):124-37. doi: 10.1002/cpp.680. Epub 2010 Feb 8. PMID: 20146201.

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